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恐竜はなぜ鳥に進化したのか [書評]

恐竜はなぜ鳥に進化したかを最近明らかになってきた地球規模の
酸素濃度の変化から解明していくというアプローチの本でした。

分厚くて字が小さめで最初ちらっと中を見た時、全部読むの苦痛かなーと
心配になったのですが、読み始めてみると面白くて一気に読んでしまい
ました。通勤の行き帰りしか読めないので2週間位かかりましたが。。。

何よりびっくりしたのは、タイトルに「恐竜」を冠しているにも関わらず、恐竜が
本格的に取り上げられるのは全11章中の7章目からなのです。生命の
進化の歴史を6億年前から現在に向かって、それぞれの時期の酸素濃度と
の関係を明らかにしながらたどっていく構成だったので、まあ、確かに恐竜が
出てくるのは最近の事だよなー、と今更納得してたりもします。

色々面白くって、書きたいことが沢山なのですが、6億年前から遡るのは
大変なので、おおざっぱに。

酸素濃度の減少は大きく分けて古生代中期、中生代初期に起こった
ようです。

酸素濃度の減少によって生まれた動物の種類っていくつかあるみたい
ですが、古生代に生まれた動物としてはイカの仲間が挙げられるようです。
全然知らなかったのですが、イカって魚が住めないような低酸素の海でも
生きていけるんだそうです。

これに続くのが気嚢システムを持つ恐竜&鳥で鳥の酸素使用効率は平地で
哺乳類より33%増しだそうです。ですので低酸素時代の中生代に恐竜が
栄えたのは必然だったみたいですね。でもよくよく読んでみると、全ての恐竜が
気嚢システムを持っていたわけではないようで、ある種類の恐竜は酸素濃度が
増えてきてから一気に繁栄したようです。この辺り、NHKスペシャル「恐竜vs哺乳類」で
説明されていたよりも詳しく書かれていました。

その恐竜&鳥が進化したのと同じ頃に進化した、胎盤による胎生を行う
哺乳類も低酸素の中で子孫を残す為に生まれたそうです。
低酸素の世界では卵で産み落として外気にさらすよりも胎盤で酸素を胎児に
送った方が効率がよいみたいです。
鳥は硬い殻を持つ卵を産みますが、硬い殻の卵は酸素をあまり効率よく通さない
そうです。実はこれ、低酸素の時代ではなく、酸素濃度が上がってきてから進化
したから、このような方法になっているようです。

そう考えると、また低酸素の時代が来たら親鳥は生きていけても卵が孵らないかも
と不安になったりします。

酸素を中心に考えるってちょっと新鮮だなーと思いました。


恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた

  • 作者: ピーター D.ウォード
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 単行本



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