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ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる [書評]

日本が何故IT技術で米国に大きく遅れをとっているかの謎に迫る本でした。
その話はその話で面白かったのですが、この本は太平洋戦争まで話が
遡ってまして、日本が太平洋戦争に負けたのは「最終的に技術で負けた」と
書かれてまして、それを読んで今まで腑に落ちなかった疑問が氷解した気がしました。

子供の頃、ゼロ戦はすごい戦闘機だって本を見て知ってたのですが、この本によると
ゼロ戦が強かったのは海戦から半年位で、その後はゼロ戦の弱点を突く戦闘法と、
馬力も装甲も段違いな米国の戦闘機との戦いでひどく苦戦したとの事です。
著者はゼロ戦の完成度が高すぎて(匠の技です)更なる改修ができなかったこと、そもそも
日本で生産できるエンジンの馬力がアメリカのそれの1/3程度しかなかった、製造に匠の技術を
持ち込んだ為に製造部品の規格化がうまくいかず最終的な摺り合わせの技が必要だった事など、
色々な面で技術的に日本は劣っていたと書いてらっしゃいました。
後はレーダーの技術力の差が圧倒的だったのも日本にとっては厳しかったようです。

人それぞれ意見や考えがあると思うので見方は色々だと思いますが、技術者として言えば、
子供の頃から思い込んでいた「日本は技術があったが米国の物量に負けた」というのは
ちょっと違っていたんだなあと思いました。正しくは「日本にも優れた技術分野もあったが、
総合的に見て米国の技術には敵わなかった」ってところなのかなぁと思いました。


ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる (日経プレミアシリーズ)

ものつくり敗戦―「匠の呪縛」が日本を衰退させる (日経プレミアシリーズ)

  • 作者: 木村 英紀
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2009/03
  • メディア: 新書



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経済は感情で動く [書評]

経済の本だと思って借りたのですが、脳科学の本でした。
どこも面白かったのですが、経済感覚が感情に左右される
例として、以下のような設問がありました。

1) 50%の確率で2000円もらえる
2) 20%の確率で3000円もらえる

この場合、期待値から1)を選ぶ人が多いのですが、
次の質問になると選び方が普通の経済観念から
離れてしまうそうです。

1) 5000円確実にもらえる
2) 50%の確率で20000円もらえる

期待値だったら2)が断然いいんですが、「確実に」と
いう条件がつくともう経済的判断を乱すようです。

そういう話がいっぱい書いてありました。
面白かったです。[わーい(嬉しい顔)]


経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

  • 作者: マッテオ モッテルリーニ
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2008/04/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



タグ:脳科学
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亡国マンション [書評]

日本の住宅政策、特にマンションについての問題点とその解決策を
提示している本でした。

基本的に日本の建設基準法は最低限の基準しか示しておらず、それを
満たしている=いつまでも住める住宅ではないという事です。

建築基準法の元々の経緯が戦後焼け野原になった都市部にいかに安く
早く住宅を提供するかと言うところに主眼が置かれていた為なのか、比較的
あまい基準を採用しているようです。

著者のコメントは日本の住宅政策への批判へと展開し、最終的に「じゃあ、
どんなマンションに住めばいいの?」という問いへの答えは「SI(スケルトンインフィル)マンション」だ
という事でした。マンションのパーツの中で最も耐久性が低い(寿命35年)を如何に容易に交換
するようにできるかを配慮した構造になっているようです。

ちなみに、SIマンションをネットで探してみましたが、神奈川中部では中々見つかりませんでした。。。
東京や神奈川の横浜近辺では結構あるみたいですが、とてもとても手が届かない値段ですね。。。


亡国マンション The Truth of Defective Condominiums (光文社ペーパーバックス)

亡国マンション The Truth of Defective Condominiums (光文社ペーパーバックス)

  • 作者: 平松 朝彦
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/01/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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虚妄の成果主義 [書評]

この不況の折、会社の経営者の皆様には是非これを読んで
いただきたいと思いました。最近テレビでも「景気が悪くなったから
解雇」みたいな軽いノリで従業員を解雇する企業が多々報道されて
いますが、そういうのは駄目という事が書いてある本です。

著者は日本型年功制がとても大事だと書いてました。日本型年功制とは
・仕事の成果には新しい仕事に報いる
・給料はみなが生活に困らない程度で年齢によってだいたいみんな一緒
というところだそうです。結局従業員が仕事に集中できる環境を提供できる
のが日本型年功制の良いところだそうです。
確かに一時期盛んに導入された成果主義だと、基準は不明ですが何か
頑張ると給料が増えて、結果がでなければ給料が減って、景気が悪く
なれば解雇、みたいな。そんな制度じゃ心置きなく働けないですよね。

著者はまた正社員として雇用する事の重要性を述べていました。確かに
正社員として雇った人が成長していくと言う事は会社も成長しているって
事ですから。最近多い「コストが安く済むから派遣」みたいな風潮って
どうなのかなって思います。確かに教育の手間は省けるのかもしれませんが、
たとえ仕事の成果という結果は出たとしても、その成果を出せる人材の育成は
0ですから、会社としての将来には±0、むしろマーイぐらいな気がします。

最近アメリカのBIG3が従業員を大量に解雇するとか言って話題になってますが、
この本を読んだ後だと「やっぱりアメリカ式の成果主義って駄目なんじゃないかな」って
思うようになりました。


虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ

虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ

  • 作者: 高橋 伸夫
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2004/01
  • メディア: 単行本



ペンギンの足はなぜ凍らないの? [書評]

この本もタイトルに惹かれて借りてみたのですが、内容はトリヴィアでした。
それも日本のトリヴィアの様に一つのお題に一つの答えではなく、一つの
お題に答えが4つも5つも6つも7つも出てきて。。。
この本もペンギンにたどり着く前に挫折。。。。


ペンギンの足はなぜ凍らないの?―脳細胞がワクワクする雑学の本

ペンギンの足はなぜ凍らないの?―脳細胞がワクワクする雑学の本

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 単行本



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2億年前ハワイから月が飛び出した [書評]

なんだか魅力的なタイトルだったので思わず図書館で借りて
しまったのですが、ちょっと読んだ感じどうも科学的に何も根拠のない
仮説がたくさん出てきて、不思議だなーと思って表紙を見たところ
「地球推理学」って書いてあって、あれれー、この本は科学の本では
ないのかーとがっかりしてほとんど読めなかったです。

ハワイが飛び出したところはどういう仮説でそういう話に持っていくのか
読んでみたかったのですが、その手前で推理三昧な内容に耐えられなくて
挫折しました。。。。


2億年前ハワイから月が飛び出した

2億年前ハワイから月が飛び出した

  • 作者: クロフツ 断腸
  • 出版社/メーカー: 京成社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 単行本



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根拠なき熱狂 [書評]

2000年のITバブル全盛の頃に書かれた本です。
著者は過去のデータから90年代から2000年にかけて
おきたITバブル如何に異常な状態なのかを指摘しています。
今だからまさにその通りだったと分かりますが、バブルの最中
著者の言葉にどれだけの人が耳を傾けたかは疑問です。

すごく分厚くて字が小さくて読むのが大変でしたが、著者が
言っていたなかでもっとも印象に残ったのは、「安く買って
高く売る、という方法で儲かるわけがない」、「株式投資は
資産形成には適さない」という言葉です。

結局、株や投資信託をするのって、パチンコや競馬をするのと
変わらないんだなーって言う事が分かりました。
そもそも何も生み出さないところからお金が作れると思うのが
おかしいんですよね。ちょっとだけ勉強になりました。


投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然

投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然

  • 作者: ロバート・J. シラー
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2001/01
  • メディア: 単行本



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恐竜はなぜ鳥に進化したのか 続き [書評]

この前は書かなかったのですが、へーって思ったことが他にも
あったので忘れないように書いておきます。

最初に海の中に動物が生まれた頃、海の中には酸素が溢れて
いました。最初に生まれた動物は、酸素を取り入れる器官は持って
いませんでした。体の細胞はそれぞれが別個に海水に接してそこから
酸素を取り入れていました。クラゲとかがその頃の動物と同じ仕組みで
酸素を取り入れています。

その後、低酸素の時代に適応した新しい動物が、イカのなかまです。
かれらはそれまでの動物のように水中にある酸素を受動的に受け入れず、
体の中にあるポンプを使って、より効率の良い酸素吸入を可能にしました。
前も書いた事があるけど、このおかげでイカは他の魚が住めない低酸素な
海にも住む事ができるそうです。

さてさて、人類つまり脊椎動物のの祖先ですが、この時代にいたイカや
節足動物の神経系は脊椎動物とは根本的に異なります。最も脊椎動物の
祖先として有力なのはホヤの幼体だそうです。ホヤの幼体は背中に神経系を
持っているそうです。ちなみにホヤも低酸素の時代に適応しており、イカと
同様ポンプのような仕組みで酸素をより効率よく取り込む仕組みを持って
いました。

さてさて、そんなこんなで動物の陸上への適応ですが、もっとも最初に
陸上へ適応したのは、表面に水分の流出を抑える硬い殻をもった節足
動物が最初だったようです。彼らはその後増え続けた大気中の酸素濃度の
増加に応じてどんどん体を大きくしていったようです。
ただし、昆虫などの節足動物は、他の動物と異なり循環器系があまり発達
していません。その為、酸素を体の各部に送るのは拡散現象に頼るしか
なく、その結果周辺の酸素濃度によって体のサイズが制限されてしまう
ようです。

今日は疲れたのでこの辺まで。。。
次は、、あるかな?もうだいぶ忘れてしまった。。。。


恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた

  • 作者: ピーター D.ウォード
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 単行本



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国家権力の反乱 [書評]

グレーゾーン金利の廃止、過払い金返還請求の2つがいかに
間違えているかが書かれている本です。

グレーゾーン金利って、最近マスコミとかでも取り上げられていましたが、
この本を読むまでは違法だとばっかり思っていました。実際には全く
違法性がなく、それも過去に国会答弁で合法と認められていたものだそうです。

また過払い金返還請求も、本来であれば請求できるはずのない金利の
返還請求で、今までは法律で許されていた金利が新貸金業法で禁止と
なったから、過去に遡って禁止となった金利分が無効だから返せという
議論です。こんな話、他では聞いたこと無いです。
これもこの本で書かれなければ、何が間違っているか知らずに一生を過ごして
しまったかも。

著者が言っているのは、多重債務者を救う為にグレーゾーン金利を
廃止しても全くの無駄で、多重債務をする人は金利がどうであれ
多重債務する(ATMでお金を借りて、その足でパチンコ屋に直行する
ような人々)人たちで、そうでない人たちにとってグレーゾーン金利の
廃止は利益にならないということでした。結局、このグレーゾーン金利
廃止により不利益を被る消費者金融業界がどんどん市場から撤退し
最終的にお金を貸してくれるところがなくなるのを危惧していました。

そもそも、新しい貸金業法で上限金利20%と決まりましたが、欧米では
最低でも30%、カナダは60%、イギリスにいたっては上限なしだそうです。
その金利差から考えて、如何に日本の法律が異質かわかると思います。

日本って変な国。。。


国家権力の反乱―新貸金業法は闇金を利するだけではないか

国家権力の反乱―新貸金業法は闇金を利するだけではないか

  • 作者: 小林 節
  • 出版社/メーカー: 日新報道
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本



タグ:貸金業法
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恐竜はなぜ鳥に進化したのか [書評]

恐竜はなぜ鳥に進化したかを最近明らかになってきた地球規模の
酸素濃度の変化から解明していくというアプローチの本でした。

分厚くて字が小さめで最初ちらっと中を見た時、全部読むの苦痛かなーと
心配になったのですが、読み始めてみると面白くて一気に読んでしまい
ました。通勤の行き帰りしか読めないので2週間位かかりましたが。。。

何よりびっくりしたのは、タイトルに「恐竜」を冠しているにも関わらず、恐竜が
本格的に取り上げられるのは全11章中の7章目からなのです。生命の
進化の歴史を6億年前から現在に向かって、それぞれの時期の酸素濃度と
の関係を明らかにしながらたどっていく構成だったので、まあ、確かに恐竜が
出てくるのは最近の事だよなー、と今更納得してたりもします。

色々面白くって、書きたいことが沢山なのですが、6億年前から遡るのは
大変なので、おおざっぱに。

酸素濃度の減少は大きく分けて古生代中期、中生代初期に起こった
ようです。

酸素濃度の減少によって生まれた動物の種類っていくつかあるみたい
ですが、古生代に生まれた動物としてはイカの仲間が挙げられるようです。
全然知らなかったのですが、イカって魚が住めないような低酸素の海でも
生きていけるんだそうです。

これに続くのが気嚢システムを持つ恐竜&鳥で鳥の酸素使用効率は平地で
哺乳類より33%増しだそうです。ですので低酸素時代の中生代に恐竜が
栄えたのは必然だったみたいですね。でもよくよく読んでみると、全ての恐竜が
気嚢システムを持っていたわけではないようで、ある種類の恐竜は酸素濃度が
増えてきてから一気に繁栄したようです。この辺り、NHKスペシャル「恐竜vs哺乳類」で
説明されていたよりも詳しく書かれていました。

その恐竜&鳥が進化したのと同じ頃に進化した、胎盤による胎生を行う
哺乳類も低酸素の中で子孫を残す為に生まれたそうです。
低酸素の世界では卵で産み落として外気にさらすよりも胎盤で酸素を胎児に
送った方が効率がよいみたいです。
鳥は硬い殻を持つ卵を産みますが、硬い殻の卵は酸素をあまり効率よく通さない
そうです。実はこれ、低酸素の時代ではなく、酸素濃度が上がってきてから進化
したから、このような方法になっているようです。

そう考えると、また低酸素の時代が来たら親鳥は生きていけても卵が孵らないかも
と不安になったりします。

酸素を中心に考えるってちょっと新鮮だなーと思いました。


恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた

  • 作者: ピーター D.ウォード
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/02
  • メディア: 単行本



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